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維摩経 原典発見

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2001年12月15日
東京新聞

維摩経 文字美しく文法正確 原典発見 仏教研究の第一級資料

大正大学(東京都豊島区)は14日、有名な仏教経典の一つで、聖徳太子も注釈を書いた「維摩(ゆいま)経」のサンスクリット語(梵語=ぼんご)の原典を世界で初めて、中国チベット自治区ラサにあるダライ・ラマの故宮ポタラ宮で発見した、と発表した。

発見されたのは8世紀に書写された完本。保存状態が極めて良い上、文字が美しく、文法も正確な第一級の資料という。インドでの大乗仏教の成立や中国、日本などへの広がりを考える上で、画期的な発見。

維摩経は、1、2世紀ごろインドで成立したとされる大乗経典で日本では聖徳太子が、その注釈書を著したといわれる。

同大は1999年7月、ダライ・ラマの書斎を調査中、今回の写本を発見した。縦6センチ、横30センチのヤシの葉の表裏に、7行ずつ経文を記し、全部で約80葉。8世紀のインドの王の侍従が写経したと記す奥付があった。

表紙には経題がなく、経の一章の題があったので、見逃されていたらしい。発見は「偶然だった」(松濤誠達・同大学長)という。

挟まっていた布の書き付けによると、ラサの西約五百キロのツァム地方の名刹(めいさつ)シャル寺の所蔵だったのが、中国の文化大革命で同寺が破壊された際に北京へ運ばれ、最近ポタラ宮へ持ち込まれたとみられる。